【伝統工芸】肥後象がん体験で、にゃんともキュートな肉球アクセ♪
江戸時代に熊本で大きく発展した「肥後象がん」。それを現代風にアレンジした作品が魅力的な坂元光香先生のご指導で、初心者でも気軽に体験できますよ!
伝統工芸・肥後象(ひごぞう)がん体験に挑戦!
熊本県の旧国名・肥後国で発展した「肥後象がん」と言えば、高級感あふれる伝統工芸品。工芸ジャパンのホームページにも「肥後象がん」という項目があり、熊本の誇りです。
そんな肥後象がんを自分でつくる体験ができるのが、『くまもと工芸会館』1階にあるクラフト実演工房。
皆さん、一心不乱に創作に打ち込んでいますね!
体験メニューは日替わりですが、今回の講師は肥後象がん作家の坂元光香先生です。
「唐草模様のような曲線が好きなんです」とおっしゃる先生の作品は繊細なものばかりで、工芸会館や熊本県伝統工芸館などで販売されていますよ。
熊本県の伝統工芸と日本最大級のハンドメイドマーケットプレイス「Creema(クリーマ)」がコラボした「熊本ものづくり紀行」という作品の展示販売会も開催され、今でも光香先生の作品はCreemaでネット販売されています。
ちょっとサイトを覗いてみると……
うわぉ!
にゃんともキュートなピンバッジ!!
でも簡単な肥後象がん体験なら、初心者でも大丈夫ですよ。
光香先生がプロの技で仕上げてくださるので、安心して挑戦できます。
いよいよ制作スタート!
まず最初は、模様選び。
桜・イチョウ・雪の結晶など季節を感じるものや、動植物などが用意してあります。
様々な模様がありますね……。
熊本城、別名銀杏城のある熊本市。市木はイチョウです。それを選ぶ愛市精神にあふれる人もいました。
大小の型が用意されています。
ん?
こ、これは、なんと肉球🐈⬛🐈⬛🐈⬛!!!?
にゃんこ好きの私としては、もはや一択😻😻😻
肉球に決定です!
昔ながらの道具で刻みを打つ練習から
今回体験したのは布目象という技法です。
最初の体験は布目切という、鉄の生地にタガネで“刻みを打つ”作業。1ミリに3~4本、細かく刻みます。
その練習が済んだら、自分の作る鉄地に刻みを打ちます。
刻みは、タテ・ヨコ・ナナメ2方向という、4つの異なる方向から打ちます。ここで鉄地をギザギザにしておくことで、上から乗せる金・銀・銅などの金属が密着しやすくなるという、重要な工程です。
この鉄地を置く台は、松ヤニでできているそうです。
さすが、伝統工芸!!
江戸時代に加藤清正公や細川藩のお殿様のため、刀の鍔つばに象がん細工を施した職人さんも、粘り気とクッション性のある松ヤニを使ったのでしょうか。
次の工程は打ち込み。
こうやって、銀板を型抜きされた肉球を、1つずつ打ち込むのです。
もう、ガンガン打っていきますよ~。使う道具は鹿の角。
あたりが柔らかく、金属を傷つけないんでしょうね。昔の人の知恵ってすごい。
鉄の生地に、金や銀・銅等の板や線を打ち込みます。
肉球には銀板だけですが、イチョウの茎?は細~い金糸で表現。
繊細すぎる……。
私はイチョウを選ばなくて正解。
次の工程は、たたきしめ。
小さな金槌で銀の不要な凹凸をつぶして、平らな状態にします。
せっかく肉球なのだから、ぷっくりさせたいけれど、ガマンですね。
最後に布目消。
鉄地を磨いて、不要な刻み目を消します。
これが終われば、先生にお任せ。プロの技で温度と湿度を管理し、人工的にサビを出して黒い地にしてくれます。
ペンダントかストラップが選べますが、今回はペンダントにしました。
後日、肉球ペンダントトップ🐱が届きますよ!(チェーンは自分で用意してくださいね)
世界に一つだけの宝物です。
身近にある文化を知らない私たち
光香先生が、肥後象がんを始められたきっかけは?
「もともと金属のアクセサリーが好きで、彫金を習っていました。雑貨店にあるジャラジャラした輸入もののネックレスを見て、きちんと彫金で作ったらいいのではないかと考えていたんです」
20代の頃、インドネシアに旅行に行った先生は、ステキな柄の布・バティックと出合います。
インドネシアに行ったことある皆さん、バティック買いませんでしたか? とってもステキですよね。
しかし光香先生がバティックを身に付けると、現地の若い人たちから言われたのが、「そんなの着るなんて、おばあちゃんみたい」という言葉。
その時、「日本にも和服という民族衣装があるのに、ほとんど着ない。私も足下にある日本の文化の良さを知らなかったと気付いたんです」。
そんな光香先生が帰国後、改めて目を留めたのが肥後象がんでした。
熊本県伝統工芸館で開催された伝統工芸の後継者育成講座で、河口光秋先生や故東光利先生に師事されたのです。
「私は県外の出身で、父の転勤で熊本に引っ越して来たので、両親も熊本の伝統工芸を知らないんですよ」。
いえいえ、ずーーと住んでいても熊本の魅力を知らないってこと、ありますよね。
彫金を学んていた光香先生は、「銀細工と肥後象がんを融合させたら面白いのでは?」と思い付きます。そして手掛けたのが、寺社の装飾にも使われる唐草模様など伝統的な文様です!
繊細な透かし模様が優雅ですね。
光香先生は「唐草模様は永遠に続く、縁起のいい柄なんですよ。今見ても新鮮ですよね」。
恥ずかしながら私、泥棒の風呂敷の柄としか思っていませんでした。
「恩師から肥後象がんの技術を受け継いだのは私ですが、伝統をつなぐのは、使ってくださる方々なんです。だから現代の生活で使いたくなるようなデザインを心がけています」と微笑む光香先生。
伝統工芸を残そうと気負うのではなく、ステキだから使いたい!と感じるデザインばかりです。光香先生の作品が並ぶ「Creema」やインスタ、覗いてみてください。
『くまもと工芸会館』では肥後象がん以外にも彫金・竹工芸・木工芸・革工芸・ガラス工芸・陶芸・玩具(肥後こま等)・布(機織り等)・刃物などの職人さん・アーティストが日替わりで実演されています。
ふらりと立ち寄って即、申し込める場合もあり、講師の都合で体験できない場合もあるので、予約がオススメです。金額なども確認してくださいね。
[…] 何しろ刀の鍔(つば)等を装飾する「肥後象(ひごぞう)がん」を盛り立てた三斎公なので、オシャレと実用を兼ね備えているはずです。 […]