人生初!窯出し体験をしてきたら思わぬごちそうにまでありつけた!
山鹿市菊鹿町の里山にある「アルモンデ」は、文字通り「そこにあるもので暮らす」提案をしている、自然豊かな里山ベースキャンプ。そこでは森で伐採した木材を窯で焼き、炭をつくってそのエネルギーも利用した暮らしをされています。そんな「アルモンデ」で、炭焼きの窯出し体験をしてきました!
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こんにちは!熊本県林業研究グループ連絡協議会(名前長いな!)・情報発信担当のひなたです。
林業というと、森の中の木を間伐したり、伐採したり…
そんなイメージがあると思うのですが、その木材ってどんな使い道があると思いますか?
家づくりなどの建築資材。
テーブルやイスなどの家具や建具。
どれも正解で、周りを見回せば、木でできている製品はたくさんありますよね。
でももうひとつ、忘れてはいけないのが「炭」!
バーベキューで使ったり、炭火焼の焼鳥や地鶏を食べたり(食べてばっかりですみません)、私も炭には本当にお世話になっています。
そるばってん、その炭ってどぎゃんして作るとだろか…? 読者の皆様はご存知ですか?
私も知りません!(きっぱり!)
…というわけで、今回、山鹿市菊鹿町の「アルモンデ」の西守さんが行う炭焼き(窯出し)の現場に行ってみました!
田舎暮らしの学び場「アルモンデ」
やってきたのは菊鹿町の自然豊かな山の中。
空も水も空気も棚田も美しい里山の中に、田舎暮らしの学び場「アルモンデ」があります。
古民家をDIYで改修してつくられた住まいがあり、あたたかい時期はカフェも営業されていますよ。
蔵を改修してつくられたカフェの入口には、ふくろうやハロウィンのチェンソーアート作品もあり、ぬくもりがあってほっこりします。
中に入ると、テーブルを囲むようにイスが並んでいて、あたたかい雰囲気の空間です。
納屋には木材や薪が立ち並びます。
「アルモンデ」は、自然の中で暮らす楽しみを知り、体験する学び場&交流拠点として愛されている場所です。
心優しく、自然を愛する信さん
ここに住みながら、自然農の田んぼと畑で食の自給を行い、森づくりをし、炭焼きでエネルギーの自給もしながら、遊び×学び×暮らしの楽しい場づくりをされているのが、山鹿林業研究会所属の西守信二さん(通称:信さん)です。
2011年3月11日に、日本を大きく揺るがせた東日本大震災をきっかけに、お金や社会システムに依存しない暮らしを目指し、2014年からこちらの場所で、奥様のわこさんとお二人で、身の回りにあるものを活かしながら、“あるもんで(あるもので)暮らす生活”をされています。
森づくりは2020年から始められ、子どもたちに体験の場を提供されたり、常に精力的に、「自然に則し、自分の力で生きる」ことの大切さと喜びを発信し続けられています。
朝から窯へと出発!
そんな「アルモンデ」に、窯出しの日の朝にお邪魔させていただきました。
信さんや奥様のわこさん、お手伝いで参加された皆様にご挨拶をした後、軽トラに道具を乗せて、近くにある炭焼き窯へと出発!
「今日は作業が終わったら、できたての炭でジビエバーベキューをしたいと思います」と最高に魅力的な提案をしてくださった信さん。
もう嬉しすぎて、信さんが急に、神様のように見えてきました!
初めての体験にわくわくしながら、炭窯へと向かいます。
炭窯は、こちらの美しい棚田の中腹に横穴を掘って作られており、つい30年前まで使われていたものを復活させて利用しているのだとか。
ジャーーーーーン!!!
こちらが山の中腹に作られた炭窯です。
森で伐採した木材を中に入れ、燃焼させて窯を閉じ、丸2日ほど酸素の少ない状態で焼き続け、炭づくりが行われていたこの窯を開きます。
まずは、密閉状態にするために封じられていた煙突部分を開け、空気を通します。
そして、手を合わせて合掌し、山の神様に祈りをささげて、いよいよ窯を開けます。
窯の上の土を払い、大きな石や木材をひとつずつ外し、窯が開かれます。
薄暗い窯の中を見ると、炭がぎっしり!
見事に、黒々とした炭が出来上がっていました!
この炭を、窯の外へとみんなで運び出していきます。
まずは入口付近の灰をかきだし、中の炭を回収していく作業に入ります。
出来あがった炭は、大きな炭、小さな炭、燃え残っていて完全に炭化していないものの3つに分けて米袋につめていきます。
炭になったものはとても軽いのですが、燃え残っている木材の部分は、重い!!とにかく重い!!!
もとは同じものだとは思えないほど、重さが全然違うことも、体験を通して気づけることで、なんでもやってみるのが本当に大事ですね。
昔は、山で伐採した木材を里に運ぶ際、そのままでは重くて運べないため、山につくった簡易的な炭焼き窯で炭にして、里におろしていたのだそう。
そんな人間の暮らしの営み、昔からの生活の知恵は、次世代にも伝えていきたい文化ですよね。
窯は奥行もあり狭いので、四つん這いになって中に入ります。
「なんでも体験!」と、私も中に入らせていただきましたが、狭い穴蔵の中はまだじんわりとあたたかく、やわらかい熱を感じました。
みんなで協力して仕分けしながら、米袋10袋分以上の炭の回収が完了!
燃え残ったものは薪として利用し、小さなくず炭は着火用に使うなど、余すところなく、すべてを利用しています。
軽トラの荷台をいっぱいにして山をおりたあとは、またベースに戻って、炭を保管します。
米袋に入った炭を納屋の2階に上げて、大きな缶につめて収納し、この日の作業は終了となりました!
出来あがった炭でジビエバーベキュー!
作業が終わると、ちょうどお昼。
いよいよお待ちかね、できたての炭でジビエバーベキューです!(わーい!)
黒く光沢のある炭は美しく、自然が作り上げた芸術品のよう!
その炭を七輪にくべ、火を起こします。
煌々と燃える炭は美しく、あたたかくて、じっと見ているだけでも飽きないぐらい…。
火鉢や七輪に竈門など、昔は当たり前のように暮らしの中にあった火ですが、最近は見なくなりましたね。
「火のある風景っていいなぁ」としみじみ感じます。
赤く熱された炭を、アルモンデカフェの囲炉裏にくべていきます。
あぁ、なんて素敵で落ち着く風景…!
火のある暮らしは、心までぽかぽかにしてくれます。
そしてそこで焼くのは、猪肉に鹿といった山の大自然からの恵み。
これを手作りの炭で焼くんだから…
もうたまりませんっ!
炭火で焼いた猪肉は、しっかりと旨味があり、本当に美味しくて格別!
鹿肉も柔らかくて本当に絶品でした。
黒米入りの、わこさん手作りのおにぎりも焼きおにぎりにして食べたり、贅沢なお昼ご飯になりました!
やっぱり炭火で焼くと、美味しさのレベルが違います!
作業後に、ノンアル片手にみんなで囲炉裏を囲んで、手作りした炭で焼いたジビエを食す贅沢といったら…!
本当に至福のひとときでした!
山の恵みにありがとう!
太陽と雨、そして山の大地が、長い年月をかけて育んでくれた木を伐採し、時間をかけて炭にして、美味しい食事をしたり、薪ストーブや火鉢で暖をとったり…。
こんな自然の恩恵のもとに、私たちの暮らしがあること、本当に感謝ですね!
山や森、自然への「ありがとう、ありがとう!」の気持ちがあふれ、感謝で体中が満たされました。
「林業」というと、自分たちの世界とは遠いところにあるようなイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、住んでいる家であったり、使っているお箸やイスであったり、バーベキューで使う炭であったり…そんな、私たちの日常のすぐ先にあるのが林業で、大切な大切な第一次産業なのです。
自然とともにある暮らしの心地よさ、そして、生きる喜びを体感させてくださった西守信二さん&わこさんご夫妻、お手伝いに来てくださった、アルモンデにつながる皆様、本当にありがとうございました!
アルモンデの日常については、記事下部の店舗情報の各種SNS等をご参照ください。
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熊本県庁農林水産部森林局森林整備課林政企画普及班
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