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高森町 夏の風物詩 250年以上続く『風鎮祭』  高森にわかで笑って騒いで、はしゃいで、楽しい夏の思い出に♪♪

夜中0時から爆竹が鳴り響き、仮装した若者たちが高森町を練り歩く!250年以上続く阿蘇郡高森町の伝統祭り「風鎮祭」。高森町民でないと聞き取れない!?爆笑「高森にわか」や、これなしでは風鎮祭は語れない!「山引き」など、夏の終わりを告げる特別な2日間、あなたも高森町で地元の情熱とユーモアを感じてみませんか?

阿蘇郡高森町で、真夜中の日付が変わってからスタートするお祭り「風鎮祭」(フウチンサイ)をご存じですか??

 

筆者は高森町生まれでして、この祭りで育ってきました。今回どうしてもこの祭りを記事にしてみたい!!との思いで新参者ですが書かせていただきました。わーい!!

 

-CONTENTS-

 

阿蘇郡高森町で250年以上続く伝統的な祭り 「風鎮祭」

祭りのスタートは真夜中からである。

 

え。夜中から?!

そうです、夜中の0時ちょうどから爆竹が鳴り響いてにぎやかな三味線、太鼓の囃子にのって高森町内を5町の向上会※1の若者たちが面白可笑しく仮装して町中を練り歩く『目覚まし』とよばれるイベントでスタートする風鎮祭。

 

※1…5町向上会(ゴチョウコウジョウカイ)とは高森町内にある「上町(カンマチ)」「下町(シモマチ)」「横町(ヨコマチ)」「旭通(アサヒドオリ)」「昭和(ショウワ)」の5地区の若者で構成される団体で風鎮祭をメインで盛り上げてくれる。20代から30代中心の若者で構成されています。

 

「おはようございます、おはようございます~♪」

 

と元気な掛け声で風鎮祭は幕開けします。

そんな近所迷惑な祭り…。許されるの‥とお思いの皆様。

 

安心してください! 許されてます!

 

この2日間だけは大丈夫なんです!(ちゃんとルールに則ってみんなやってます)

 

高森町民は、みんなこれがスターンダードな夏祭りと思って育つので、みんなこの日は夜更かしOKなんです!!

 

なんとも珍しいお祭りですよね。

 

そもそもこの風鎮祭、文政5年(1822年)に風鎮めの行為として開始されたとされる記録が残っているぐらい、古い歴史ある祭りなんです。 (引用:『高森のにわか』より)

 

このお祭りのメインになるのは、祭りの中心で盛り上げてくれる向上会の若者たちが繰り広げる「高森にわか」です。

高森にわかとは??

軽トラックの上に作った移動舞台の上で、各向上会が独自の寸劇を繰り広げる「高森にわか」は独特の方言と観客とのやり取りで笑いを誘います

 

なんといっても、高森町民でないと聞き取れない高森弁

ね、全然わからないですよね。

 

おそらく熊本市内の人でも、「え?」と理解に苦しむ高森弁。

 

東京にいる友達の旦那さんは当初「外国語みたいで早いしわかんないね」ってびっくりしたそうな。そーですよね。県民でもあまり聞き取れない熊本の方言。

 

しかし、この高森にわかには、ちゃんとオチ」と呼ばれる落としが存在しその意味が理解できて初めて、おおーーーそういうことか!!と納得するんです。

 

言葉あそびをしっかり考えてある内容とオチなのでとっても面白いんです。

 

私が12歳から三味線を弾いている上町向上会が今年披露したにわかの一節ですが…。

 

題目:鶴の恩返し

一羽の鶴が、津留地区(高森にある地名)で、足がつった。

 

鶴は「足がつーる、つーる」とジタバタ。

 

※ここで鶴(ツル)と津留(ツル)地区をかけているという細かな部分も笑いのポイント。

そこへおじいさん、おばあさんがひょっこり遭遇。

 

おじいさんが「ばあさん、これはおそらく鶴だから、こいつを助けたら昔ばなしの鶴の恩返しみたいにお金がもらえるのでは??」

 

そんなたくらみを持って2人は鶴を助けるも…。

 

ある日、おじいさんおばあさんが鶴がいる部屋に行くともぬけの殻に。さらには、おじいさんおばあさんたちの家財道具全てがなくなっていたのです。

 

実はこの鶴、姿形は鶴のようにしていたが鷺だった。おじいさんおばあさんは詐欺にあってしまった。 ※鷺(サギ)と詐欺(サギ)をかけているというオチ。

 

ほかにもいろーんなオチがあって、各向上会は毎年高森にわかのネタを10以上作成するのです。

 

高森にわかは移動舞台なので、各町内で好きな場所で好きな向上会の舞台を見れるのも風鎮祭の醍醐味。(1日目と2日目の19時頃から21頃まで町を練り歩きます)

 

そしてラストの日には、各向上会のそれぞれの一番を出してその年の順位を競う「にわかコンクール」があります。

中央の舞台で、一斉にお客さんの前で披露するコンクールは笑いあり、涙ありで本当に盛り上がるラストフィナーレ。ここで順位を聞いて、入賞した向上会のみんなは本当に盛り上がるんです!

 

小さな子供からお年寄りまで、笑って楽しんで、舞台の役者とお客さんでつくる高森にわかは本当に一度経験してみてもらうと、虜になるはず!!

 

私も小学生のころから高森にわかはずっと大好きで、にわかのお囃子三味線が弾きたくて三味線を習い、今もお祭りの三味線を手伝ってます。体力あるまでは、もしくはお嫁にいくまでは、お手伝いできればと思っておりますが…。いかに。笑。

結局今年も楽しかったです。そしてまた来年度に向けて三味線を箱にしまいました。

日用品を使った造り物「山引き」

風鎮祭には高森にわか以外にもたくさん見どころはあるのですが、その一つに「山引き」があります。「山引き」なしには風鎮祭は語れないといっても過言ではない重要イベントです。

 

造り物と呼ばれる、「山」は、日用品を使って作るのですが、一定のルールがあります。

 

それは…

 

日用品の形をくずさず、色も塗らず、また解体したら通常通り利用できないとダメ

 

そんなルールがあるんです。その造り物を、トラックに乗せて三味線と太鼓のお囃子で町中を練り歩く。

今年は合計7基の造り物がありました。こちらも順位が決まるので、各地区毎年みんなで力作を作ります。

 

本当に風鎮祭は高森町のみんなで作り上げているよなーって毎年思います。

 

高森町出身として誇りに思えるそんなお祭りです。

神事「節刀渡し」

祭りの最終日には、「節刀渡し」(せっとうわたし)と呼ばれる神事も行われます。

 

厳粛な雰囲気の中、各5町向上会の役員たちがそろい、祭りを統括する年番向上会を交代する儀式です。

 

「節刀」と呼ばれる短刀の受け渡しが行われます。

 

熊本県内では祭りの中心となる人・家・集団をセットウといい「節頭」または「節当」の字があてられることが多く、また、当番を交代する儀礼を「セットウワタシ」といい、酒を酌み交わし、御幣や催事道具などを受け渡すところが多いそう。

 

「節刀」の字をあてて実際に刀の受け渡しをするのは県内では高森町だけとのこと。

この行事は本当に日本古来の雰囲気を感じられるイベントで一切にぎわいは禁止。(しかしその後すぐ高森にわかが始まるんですけどね)

 

そこのメリハリがすごいです。

 

この神事が無事終了すると

 

会場アナウンスで

 

神事、無事終了しました。それでは、各向上会、打ちこみ、はじめ!

 

この掛け声で、各町のお囃子の演奏がスタートして2日目最後のにわか移動舞台へと移るのです。

もちろん、夜店や花火、町民みんなで踊る総踊り、メインステージではイベントなんかもあります。

 

この2日間、高森町は風鎮祭一色でとてもにぎやかなものです。

提供:高森町役場広報

風鎮祭が終われば高森町には秋が到来

そう。

 

お祭り期間中の2日間は灼熱なんですが、不思議なもので風鎮祭がおわれば、高森町は本当に涼しい風が吹き、秋の気配が感じられるのです。

 

季節の節目にもなるこの風鎮祭。

 

あるにわかの演目では、そんな季節の節目を活かしたネタも。

 

風鎮祭中に出会った男女二人が恋に落ちるも、祭りが終わったら絶対別れがくると周りにいわれる。

 

なんでか?! と二人はいう。

 

その理由は「風鎮祭が終われば、秋がくる(飽きがくる)」という。

 

なんとも。秋(アキ)と飽き(アキ)をかけた一話。

 

また来年も高森の風鎮祭で高森最後の夏を満喫したいなと思います。

すぐ使える高森弁と筆者の好きなにわかのフレーズ

最後に…

 

すぐ使える高森弁と筆者の好きなにわかのフレーズをご紹介します

 

すぐ使える高森弁 『とごゆる』

意味:「急ぐ、急ぐ様」

使い方 「とごゆんな!」(急ぐな!)

 

となります。 すぐ使えるでしょ。

 

いつ使うの。笑。

 

それと、

 

私の大好きな、高森にわかのフレーズ (※よくオチなどで使われる)

 

わきゃーときの苦労は買うてでんせぇ。

 

標準語訳:若いときの苦労は買ってでもするものだ。(今苦労があって、将来の幸せがあるものだ。)という意味。

 

これはたまたま最近、私の大好きな上町向上会の先輩からかけていただいた言葉です。ほっこり。

 

高森よか町です!!ぜひ、おいでください♪♪

 

《高森町へのアクセス》

・車:熊本市内方面から(俵山経由、国道57号線経由どちらも) 約1時間

・JR:水前寺駅から南阿蘇鉄道経由して終点高森下車 約1時間半

・飛行機:熊本空港からバス乗車(高森号)終点高森中央下車 約1時間

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キュレーター紹介

おるたん

熊本で生まれ育ち、熊本が大好きな謎の生き物。 熊本の魅力をもっと多くの人に伝えるため、おるとくまもと編集部へやってきた。今日も県内各地を走り回っている。 自慢の帽子は、実は阿蘇山。感情が高ぶると...

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