【肥後遊記】第二譚『肥後のよかとこ、あんなとこ』秋夜に舞う、球磨神楽 -人吉市 青井阿蘇神社-
妖怪ひ〜が肥後をぶらりぶらり旅する『肥後遊記』第二譚。球磨神楽を見に人吉の青井阿蘇神社へ。水害にもコロナにも負けず、受け継がれる伝統の舞。秋の夜長に神秘的な夜神楽にひ〜もうっとり。球磨神楽を見る機会は12月まで続く!?
初めましての人は、初めまして!
自己紹介以来の方は見に来ていただき、感謝カンゲキ雨アラレの「妖怪ひ~」です。
今回は、前回の予告通り!人吉・球磨地域の「球磨神楽」の様子をお届けします。
10月8日(金)に国宝の青井阿蘇神社で奉納された、熊本県内で唯一国指定・国選択の無形民俗文化財になっている「球磨神楽」をご紹介いたします!
本来なら青井阿蘇神社の「おくんち祭り」が、3日(日)から11日(月)までの日程で行われるはずでした。
しかし、今年はコロナの影響もあり規模を縮小して開催され、8日(金)に行われる球磨神楽も演目を減らして奉納されるということで行ってきました!
球磨神楽の各演目を紹介する前に、球磨神楽でしか見ることができない特徴を1つ、「楽板」についてお伝えします。
「楽板」ってなに?
夕方6時からの開始ということでしたが、昼の1時には現地についてしまい、近所をぶらぶらと人吉城跡や老神神社等を歩いて巡り、開始時間を待ちます。
この球磨神楽では、笛や鈴以外の楽器として、「楽板」とよばれるものを使います。上の神楽殿の画像右側にある太鼓の下にある俎板に脚がついたようなものです。
この楽板は、神楽の太鼓を叩く役目の人が2本の棒で叩き、小太鼓のようにリズムをとりながら神楽の音楽を演奏します。
また、楽板は球磨神楽には欠かすことのできない楽器で、昔はこれを忘れたら神主さんたちが、近所の民家等からまな板を借りて代わりの楽器としたという話もあるそうです。
そんな楽板の裏側の画像なんてレアじゃないですか?球磨神楽を観に行ってもお目にかかることはできません。「おるとくまもと」読者限定です。当日撮り忘れ、持ってたのがこの画像だったからというのは内緒です。
神秘的な夜神楽
さてさて、夜の帳が下り、神社の境内が暗くなり神楽の奉納が始まりましたが、周りが暗いのと神楽のあまりの激しさにカメラが追い切れず、写真がぼやけてます。
「三笠」は2人の舞手が、天井の作り物に結ばれた綱をそれぞれ持って絡ませながら舞い、舞の途中で控えの人が天井の雪舟を揺らして中に仕込まれた紙吹雪を散らす舞で、その光景は神秘的な美しさがあります。
「大小」は、前垂れ髪で顔を隠しながら舞うもので、最初は神楽鈴と扇を持ち、後半には御幣ごへいに変え軽快に、そして激しく舞う神楽です。
見所は、しゃがんだ相手の背中の上を足を上げながら体を回すユーモラスな場面です。
今年は地元の中学生を含む若手2人が舞手になり、激しく若々しい舞を披露しました。
この他にも「獅子」等が披露され、約2時間をかけて11の舞が奉納されました。
12月まで続く
ちなみに球磨神楽は、青井阿蘇神社だけではなく、12月まで人吉球磨地方の約40カ所の神社で奉納されるんです!
この数、奉納される地元の保存会の方々も正確な数を把握されていなかったんです。そもそも神事として行われるものであり、意識して奉納する数を数えていなかったので、全体的な数を把握されていなかったようです。今回の取材の際に数えてみたら、予想を超えた数でみなさん驚いていました。
青井阿蘇神社の球磨神楽を見逃しても、まだチャンスはあります。
今後も、水上村の市房山神宮(12月15日(水))等で奉納されます。
舞われる演目も、奉納される神社ごとに異なるそうです。
※新型コロナウイルスの関係で球磨神楽の奉納が中止になる可能性がありますので、見に行かれる際は確認を→球磨神楽保存会
山江村の山田大王神社の近くには、『おるとくまもと』で紹介された「農家レストラン やまえのまんま」があります。季節限定の「山江栗やまえぐり」を使った栗ご飯を食べて、神楽を観に行く…または、五家荘の美しい紅葉を見た後に夜神楽を…などなど、秋の行楽に、秋の夜長に、人吉球磨に球磨神楽を観に行ってみてはいかがでしょうか!
さてさて、10月末に近づいて、山々が色づき始める季節になってきましたが、おススメの紅葉スポットや美味しい名物などを見つけ次第、発信していきますので首を長くしてお待ちください!
以上、妖怪「ひ~」でした。
【NEXT】
第3譚 肥後のこいが、うまかもん
食欲の秋と柚餅子ゆべし-菊池市-
ちなみに…
球磨神楽の歴史
「球磨神楽」の起源ははっきりしていませんが、文明4年(1472)に相良家の相良為続さがらためつぐが人吉市の青井阿蘇神社で、雨乞い祈願の際に奉納したという記録が残っており、少なくとも500年近い歴史がある神楽です。また、雨乞い以外にも天文9年(1540)に疫病が流行した際には、数百番の神楽を納めたという記録もあるそうで、近年のコロナを吹き飛ばしてくれることを祈るばかりです。
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