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【くまもと美術探訪】第十二話『オンリーワンのこだわりだらけ!人吉市・青井阿蘇神社のふしぎと魅力』

令和2年7月豪雨から約2年、復興が進む人吉市の青井阿蘇神社に訪れました!あの文豪・司馬遼太郎を唸らせたといわれる人吉のシンボル・青井さん。お名前のふしぎや建物の各所に隠された相良氏のこだわりに迫ります!

こんにちは!きなこの【くまもと美術探訪】第12話です。

今回は、日本遺産 人吉球磨の構成要素にもなっている青井阿蘇神社がテーマ!

豪雨から約2年、復旧・復興が進む人吉市を探訪してきました。

 

青井阿蘇神社について

熊本県で唯一の国宝に指定されている青井阿蘇神社は、大同元年(806年)に創建されたと伝わる神社です。

現在残っている楼門や社殿は、鎌倉時代に静岡から熊本に移り住んだ御家人・相良氏さがらしによって慶長18年(1613年)に建てられました。

400年以上この場所で人々を見守ってきたシンボル的存在で、今も「青井さん」の呼び名で人々に親しまれています。

おくんち祭りの夜に奉納される球磨神楽は今も注目を集めていますよね。

 

青井阿蘇神社のおなまえ

人吉にあるのに、どうして青井阿蘇神社なの?」と思ったそこのあなた、鋭い!☝

青井阿蘇神社には、阿蘇市・阿蘇神社の神さまである「阿蘇三神」が祀られています。

阿蘇神社の神さまを祀っているから、お名前を頂いたんですね。

人吉と阿蘇、遠く離れた場所ですが、深~いつながりがあるようです。

 

阿蘇三神のお一人は噴火口を神格化した存在で(熱そう…?笑)、「健磐たけいわたつのみこと(たけいわたつのみこと)」というそうです🌋

このお名前にちなんで、青井阿蘇神社の建築には8匹の龍🐉が彫刻されています!

見えにくいところもあるけど、探してみると楽しいです♪

また、健磐龍命さまは、仏さまである十一面観音の姿で表現されることもあります。

昔の日本では、仏さまは神さまの姿を借りて人々の前に現れたり、神さまは苦悩し仏道に救いを求めることがあると考えられていました。ふしぎですが、明治時代より前の日本では当たり前のことだったんです!

青井阿蘇神社に銅で作られた十一面観音の懸け仏や、板に描かれた絵画などが残されているのはこのためなんですね。

 

 

司馬遼太郎を唸らせた雄大な楼門

作家の司馬遼太郎が人吉球磨に訪れた際、「日本でもっとも豊かな隠れ里」と称したことは有名ですよね(日本遺産のコピーにもなっています)。

もちろん、青井阿蘇神社にも訪れています。

 人吉の町でおどろいたのは、青井神社の桃山風の楼門だった。球磨川の北岸の道路を歩いていると、川にのぞんで石段があり、登ってゆくと豪宕な楼門が立ちはだかっていた。寺だろうかと錯覚したが、しかし青井神社とあり、そういう目で地勢をながめてみると、上古、この里に棲んでいたひとびとの聖地だったようにも思える。(中略)「青井大明神」という額を高くかかげたこの楼門は、京都あたりに残っている桃山風の建造物などよりもさらに桃山ぶりのエッセンスを感じさせる華やぎと豪宕さをもっているのである。

司馬遼太郎『街道をゆく 肥薩のみち』より引用(傍線きなこ)

 

おおぉ~~、なんだかベタ褒めですね!!

たしかに、青井阿蘇神社の楼門は高さ約12メートルと、とっても大きくて雄大

そして、華やかでありながらも、ギラギラした感じはありません。そこが隠れ里にぴったりなのかも…

様々なお寺や歴史を見てきた司馬遼太郎をも唸らせた青井さん、まさに熊本の誇りです✨

 

建築に隠されたふしぎとこだわり

青井阿蘇神社の建築には、たくさんのふしぎこだわりが隠されています。

ポイントは、ここでしか見られない表現最新技術の融合!!

今回はその中から3つを取り上げてご紹介します!

 

その1:楼門上部の顔、かお、カオ

高~~い楼門を見上げると、細やかな組み物の四隅にが・・・!?

実はこれ、全国どこにも見られない表現なので「人吉様式」と呼ばれているんです。

しかも、取り付けた理由はわかっていないんだとか… 楼門を守る守護神なのでしょうか?

ユニークな表情をしているので、他の顔も要チェックです👹

 

その2:幣殿に隠されたこだわり

楼門をくぐって、幣殿へいでんの外側を回ってみましょう。

壁上部にはぐるっと浮彫りの彫刻が施されています。植物や動物、風景など……。

一見何の変哲もない彫刻ですが、絵柄が1枚で完結せずに隣同士の面で連続しているのは珍しいんだとか。

また、絵の下のモクモクした模様(格挟間こうざま)が建物の上部に配置されているのも珍しいそう。

相良氏がオリジナルな表現・ここにしかない表現にとことんこだわっていることがわかります!

 

その3:細かいところまで素敵!かざり金具

幣殿の各所には金具が使われています。

ただの金具ではなく、当時の最新の流行を取り入れたかざり金具を使っているのがミソ。

細やかな植物の模様や、植物から落ちる雫まで表現されていて、それぞれ違う柄なんです!

小さな部品1つ1つにも手を抜かない!ここでも相良氏の本気が伝わってきます・・・!

金具のところどころにハート型が散らされているのがカワイイな♡

なーんて思いますが、これは「猪の目いのめ」という日本古来からある火伏の魔除けなんです。

たしかに、こんな大きな建物が火事になったら大変… 防火対策も忘れてません!🔥

 

令和2年7月豪雨からの復興

雄大な姿を見せる青井阿蘇神社さんですが、2年前の豪雨では大きな被害を受けました。

人吉球磨地域では現在も地元の方々による復旧が進められているところです。

でも1つ、吉報が・・・!

2023年頃に、青井阿蘇神社の敷地内に新たな建物ができるんだそうです。

設計はなんと、国立競技場や太宰府のスタバなどで知られる建築家・隈研吾さん!!

これからの青井さんから目が離せません…ぜひ足を運んでみてください☺

 

 

それでは、次回もよい旅を bon voyage!


 

【NEXT】次回のくまもと美術探訪は…

絶賛執筆中!

 


 

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県内外での美術探訪についてリアルタイム?で呟いています。記事には載せられなかったイラストも公開中です!

店舗情報

青井阿蘇神社

TEL
0966-22-2274 0966-22-2275(FAX)
ホームページ
https://aoisan.jp/
SNSアカウント
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住所
〒868-0005 熊本県人吉市上青井町118 青井阿蘇神社

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キュレーター紹介

きなこ

仏像のためなら東へ西へ…。2021年春に熊本へ辿り着いたばかりの仏像女子です。 イラストを交えながら、熊本県内の美術・アートについて語りつくします! きなこの熊本県内外での美術探訪をTwitterでもリアルタイム?に更新しています@kinako_kumamoto

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