「かわいい」から「かっこいい」へ 花のイメージを変えた男(前編)【熊本HEROS vol.5】
男性が持ってもかっこいい。
今まで使わなかった人、絶対に花屋を訪れなかったような人。
そんな人たちでも持てる花を創りたい。
muro:
お花の世界に入られたきっかけは何だったんですか?
山中さん:
元々ここの花屋は自分の母が営んでいたんです。小さいころから親の手伝いで店に来たり、 家にも飾ってあったりと自然と花が身近にあったんです。
muro:
それでそのまま継がれたんですか?
山中さん:
全然(笑)
高校卒業後自衛隊に入って、その後洋服が好きでアパレル業界に就職したんです。
学生のころからずっと音楽活動していて、音楽とアパレルの両立で当時はそのまま音楽やれたらなんて思っていました。でもだんだんとアパレル業界・洋服にあまり情熱をもてなくなってきていて・・
「これからどうしよう?」なんて漠然と将来を模索していた時にたまたまTVで、 「たけしの誰でもピカソ」って番組があったのご存知ですか?あの番組を観てもの凄く衝撃を受けて。大げさかもですがおれの人生これだ!ってくらいのインパクトで。
muro:
どんな番組だったんですか?
山中さん:
様々なアーティスティックな活動をされている方を取り上げる番組でなんですが、ちょうど見たときの回が「男性フラワーアーティスト」という特集で。
男性の花屋もいるんだなぁくらいに思っていたら衝撃で。 その人たちが作る作品がとにかくかっこよかったんです。 装飾、ディスプレイ、活け込み。どれをとってもかっこよくって、今まで自分が知っていた、見てきたお花の概念が変わりました。
家が花屋でありながら、どちらかというと他の人より花を知ってるって思っていたのですが、こういう世界があったんだと!思ったのと同時に、自分の生きる道はこれだって思ったのを今でも覚えています。
だから、その翌日に当時勤めていたアパレルの会社を辞めました。(笑)
muro:
えっつ??翌日になんですね。そのくらいのインパクトだったんですね。
山中さん:
そうなんです。それがいまから11年前の2006年。飛び込んだはいいけどそこからは下積みですよね。母のサポートをしながらお店での実践を学びし、お店が終わったら教室に通い資格取得と合わせて基礎を学び。練習練習ですね。数年はしっかり基礎を学び、だんだんと自分のやりたかったことができるようになり、自分の色をだせるようになってきたかなと。
muro:
山中さんが創られる作品はかっこいい。そしておしゃれでいてオンリーワンというか。この「おるとくまもと」が熊本再発見メディアという趣旨で、熊本の良いもの・すごい人を紹介したいという僕らの思いが込められていて、 私もデザイン関係も携わるのではっきりと言わせてもらいますが・・
従来のお花屋さんと本当に違いますよね。「お花」という一括りにしてほしくないというか なんでも一緒でしょ?なんて思っている人に声を大にして言いたいくらい全然違うよと。
山中さん:
照。
そう言ってくださってありがとうございます。おかげさまで今では少しずつそのようにそう言ってもらえるようになり、自分が当初目的にしていたことというか、自分のやりたかったことができているのかなと思っています。
muro:
TVで衝撃を受けたかっこいいフラワーアーティストというところですか?
山中さん:
もちろん、かっこいいフラワーアーティストに自分がなりたいという側面もあるのですが、僕が一番やりたかったのはお客様が、男性が持ってもかっこいいお花を創るという部分なんです。
世間的にお花を渡すことが恥ずかしいとか、キザなイメージというか・・。そういったイメージないですか?
muro:
あぁ、なんかお花渡すことがかっこつけていて逆にかっこわるい?みたいな
山中さん:
そうそう。かっこつけてる感がイメージではあるのかなと。正直、自分自身も昔母親の手伝いで配達に行くときなんか、花束とかを持って街中を歩くのととても恥ずかしくて・・・。
従来の花束やお花のアレンジのデザイン、ラッピングってどうしても「ピンク」「淡い色」とかで「かわいい」が多かったんです。女性の方のセンス特有というか。だから、男性が持って歩いてもかっこいいものを創りたいなって。
プレゼントされる側の女性でも「かわいい」よりも「かっこいい」とか「個性的」そういったキーワードの方がしっくりくる方も多いかと思いますし。
そこであえて黒を基調にしたラッピングとか。中身がわからないようにBOXに入ったギフトのアレンジを創ったりとか。
スーツ姿の男性が持って頂いて画になる!そういった意識で創っています。それを見て頂いて今までお花屋さんに行ったことがないような人、お花を買わなかったような人、絶対使わなかったような人たちが使ってくれるようになったらいいなと思っています。
muro:
実際そういったお客様は増えているのではないですか?
山中さん:
そうなんですよ。ワークショップを行ったり、あとはライブやイベントでミュージシャンの方と一緒にステージにたってデモンストレーションを行ったり、 舞台装飾なども現在行っているのですが、(補足:アーティストとしての活動は後編で紹介します!)そこで見てくれた高校生の男の子が彼女への初めてのプレゼントにといってこの前来てくれたんですよ。
そういうのはやっぱり嬉しいですよね。