料理で感動を与える凄腕シェフ(後編)本当のおいしいはいつまでも色あせない【熊本HEROS vol.4】
熊本市中心部上通エリアにあるフレンチビストロ、LE BISTRO遠山。
後編は「おいしい」って何だろうというところや、熊本にスポットをあてて書かせて頂いております。
前編はこちらから。
[post_link “35651”]
自分にしかできないを大事にし、追及する。
それが「おいしい」につながる。
余談ですが・・実は私熊本を離れていて、熊本に帰ってきて今年の1月に初めてLE BISTRO 遠山に訪れました。その時に「おいしい」以上の感動を覚えました。よくよくシェフとお話をしていくと、実は10年くらい前に私と遠山シェフは東京でお会いしていました。そこでシェフのお料理も食べていました。私にフレンチを教えてくれた人、好きで通っていたフレンチレストランのシェフは遠山シェフがご指導されていた後輩の方のお店でした。おいしい以上に、自分の「すきな味」「知っている味」そうこれがフレンチだという懐かしさ、感動がありました。まさに自分の知っているフレンチの原点の味だったんです。
muro:
最初に遠山シェフのお店に訪れたのが今年の1月。
その時にシェフのお料理を食べてもちろん「おいしい!」と思ったのですが、
その中に「感動」と「なつかしさ」。自分の好きな味だ、自分の知ってる味だというどこか不思議な感覚がありました。
個人的にフレンチが好きなのでいろんなお店に行ったり、たくさん食べる機会もあったのですが
そのどこででも味わうことができない不思議な感覚。
自分の中でのあの感動。ごはん食べて初めての体験でした。
自分の舌と脳が覚えているというか。料理って感動を与えることができるんだなって思いましたよ。
遠山シェフ:
自分たちでもそうなんですがやはり、基本にあるベースの味は最初に教わった人の味や自分が食べておいしいと思った味だと思うんですよね。
自分が一番おいしいと思った味。自分が食べてほしいと思った味。自分が出したいと思った味。それを覚えていてそれを出すための努力する。
自分の舌が覚えている味でなければ、他のものは受け入れられないんですよね。イメージすらわかない。
muro:
単純にモノを食べて「うまい」「まずい」「すき」「きらい」は自分の中でありますけど、
その基準となっている味ということですよね。
遠山シェフ:
そうだと思います。それが自分が作った料理でそういってもらえると嬉しいですね。
料理を作っていく中で心がけていることとして、
自分にしかできないを大事にし、追及しているんです。
料理って意外に見えていないところ、わかりにくいところ、伝わりにくいところで
ものすごくこだわりをもって、手をかけてやっているんですよね。
食べてもらってなんとなくかもしれないけどそれが初めてわかるという世界だから。
一般のお客様からするとそこまでもしかすると求めていないかもしれないですけどね。
muro:
そこにおいしいが隠されているんですよね。
最後になるのですが、私たちくまもとDMCでは熊本の「食」「観光」などを応援しているのですが。
遠山シェフから見て、熊本の食材についてはどのようにお考えでいらっしゃいますか?
遠山シェフ:
純粋に熊本の食材はとてもポテンシャルが高いですよ。
ただ、それにおごらないようにしなければいけないとは思います。
本当に食材がいいので何もしなくてもいいじゃんってならないように。
自分の腕でおいしいものが提供できているのか、
素材の良さのおかげでおいしいものが提供できているのか。
間違わないようにしないといけないですよね。
素材が良い分、生かすも殺すも料理人次第。
そのまま食べておいしいってことをお客様も知っているからですね。
地元でとれた食材や、自宅で育てた食材、近所のスーパーで買った食材。
そういったものでも熊本はおいしいので。なんだ家で食べたほうがおいしいじゃんってならないよう。
muro:
食材、素材が良いから料理をされる方の腕がより試されてくるわけですね。
その中でも特にお勧めの食材などありますか?
遠山シェフ:
赤牛や豚も鶏も魚も野菜も全般的においしい。
生産者の方々の努力と、この素晴らしい自然環境があってこそで。
その中から特にと言われると難しいですよね。
例えば花があってどの花がお薦めですかって聞かれてもなかなか選べないでしょ?
そのシチュエーションシチュエーションで贈る花もかわってくるじゃない?
相手によってもそうだし。でもどの花を見ても一つ一つそれぞれが綺麗なわけで。
食材も一緒なんだよね。
例えば「豚肉」にしたって水分が多いやつ、水分が少ないやつ、甘みが強いやつ、ブタくささが強いやつとか。
色々なタイプがあって。それを一様にどうっていうのはなかなか言いにくいところなんですよね。
ただ、食材の場合だと使い手によってがらっと変わる。
その作り手の癖や好みで全く違ってくるから。
実は大事にしているコンセプトでもう一つあって、極端にいうと県外の人にもっと食べに来て欲しいんですよね。
県外の人がこれを食べに、このお店を目当てに熊本に遊びに来てくれる。
ランドマークではないですがそういう位置づけを目指していて。
実は福岡に広告を出したこともあるんですよ。
県外の方が来られた時に、「馬刺し」「からし蓮根」「太平燕」を食べて。
初日はそれで良いと思うんだけど、二日目は飽きてしまうと思うんですよ。
ましてや熊本に何度も来ている方からするとなおのことで。
「熊本に行ったらあそこの店に行って!」「洋食ならあそこだよ!」そういってもらえるお店がないと面白くないかなと。
それにさっきの話と一緒なんですが熊本にはたくさんのおいしいもの、良い食材があるんですから。
それを食べて欲しいし、知ってほしいですよね。
その為にレストランがあって、料理人がいるわけですからね。
それが今の僕の新たな使命かなと思っていますよ。
そして今回特別に遠山シェフに「熊本」をテーマにした特別なお料理をご用意して頂きました。
【KUMAMOTO FRENCH】
食材も全て熊本の物であり、尚且つ熊本の代表的な郷土料理である「馬刺し」「からし蓮根」「ひともじのぐるぐる」をフレンチスタイルで再現頂きました。
【KUMAMOTO FRENCH】
□熊本の赤牛
□馬刺し:馬肉と蘇陽ナスを入れたタルタル仕立てになっています
□ひともじのぐるぐる:オリーブオイルと塩でマリネされたぐるぐるを生ハムでまいています
□からし蓮根:蓮根のすり身をコロッケのように仕立てています。からしと一緒に。
「おいしい」簡単につかう言葉ですがそこに至るまでの過程、努力をいかにこだわるのか。
妥協せず追及していくその先にその先にあるものが「おいしい」を越えた「感動」が生まれるのだと思いました。
料理を通じて感動を与える。そこには当たり前のことかもしれませんが素晴らしい食材とシェフがいて初めて成り立つと。
熊本の食材を大事にし、そして熊本観光・復興への足掛かりになればと活動されている遠山シェフ。我々くまもとDMCと通ずるところが多々あることを感じました。
[facility_link “LE BISTRO 遠山”]