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人吉球磨探訪記③「幸せ」が湧き出でる「あさぎり町」編

球磨盆地を球磨川に沿って走る「くまがわ鉄道」には、2015年から「田園シンフォニー」が運行を始めたことが話題となりましたので、ご存知の方も多いかと思います。数々の新幹線や観光列車を手掛けたデザイナー水戸岡鋭治さんの手によるもので、車両は5両。うち4両が球磨地域の四季を、1両が霧を表現しているとのこと。

自家用車での旅も気ままで楽しいものですが、田園風景をのんびり楽しむには、列車の方がより旅の実感が得られるでしょう。。

とはいいながら、車で来てしまった私ですが、くま川鉄道のおかどめ幸福駅を訪ねました。


「幸福駅」という響きには、日本中のある年齢以上の方は反応されます。
北海道にあった幸福駅は「愛国から幸福行き」の切符が大ブームになりました。1970年代です。残念ながら1987年広尾線の廃線にともない駅も閉鎖されました。1989年(平成元年)にはくま川鉄道が開業しますので、幸福駅を受け継いだことになりますね。

 

「愛国から幸福行き」の切符は、小さいころお土産でもらった覚えがあります。でもだれのお土産だったかは忘れました。プラスティックのケースに入ってました。もしかしたら見せてもらっただけかもしれません。四つ葉のクローバーもブームでした。これもプラスティックに入ってましたが、お土産にするほど大量に四つ葉のクローバーがあったとは思えないのですが、でも、そこは疑ってはいけないのでしょう。

おかどめ幸福駅の名の由来はいくつかあるようですが、いずれも駅前の小高い丘にある岡留熊野座神社(おかどめくまのざじんじゃ)と関係があります。

岡留熊野座神社は、弘安4年(1280年)の創建。資料によれば相良氏第3代当主相良頼俊が、弘安の役(1281年)の蒙古襲来の際、相良一族を出征させるとともに、善男善女を集めて勝利を祈願したところ神風により勝利した。それ以来、「難を留めて幸せを祈る社」になったとのこと。もうひとつ大蛇の伝説を聞いたような気がしますが、ちゃんと調べておきたいと思います。

「幸福神社」と書かれた立派な鳥居をくぐり、丘を登り始めましたが、本来の神社の参道ではないことはすぐわかりました。新しすぎます。本来の参道は駅からまっすぐ歩いたところにあります。

訪れたのは9月上旬でしたので、まだまだ日差しが強く、蝉も鳴いていました。汗を拭きながら社殿へと続く整備された道を登っていきます。遊具も少しあり、公園として整備されてるんですね。

正式には「岡留熊野座神社」。その源流である和歌山の熊野三山は世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産です。全国には3,000の熊野座神社があり、県内では高森町の色見熊野座神社がパワースポットとして有名です。神社といっても、元来、修験場であったとも伝えられており、唐の天台宗が始まりの説もあるようです。

こちらが本来の参道。

あさぎり町の旅の始まりは、ぜひ「おかどめ幸福駅」から始まりたいです。

ところで、日本遺産について自分自身のために整理してみました。
2015年4月24日、文化庁は「相良700年が生んだ保守と進取の文化~日本でもっとも豊かな隠れ里・人吉球磨~」を認定しました。日本遺産認定制度第1号です。日本遺産に認定されるには、なによりストーリーが大事なんだそうで、文化庁ホームページには

「日本遺産(Japan Heritage)」は(地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリーを「日本遺産(Japan Heritage)」として文化庁が認定するものです。

とあります。なんでも2020年まで全国で100件ほど認定する予定。
ご存知の通り、相良藩は700年もの間統治をおこないました。700年間続いたのは極めてまれ。薩摩の島津や陸奥の南部氏などでしょうか。

では、その相良700年のストーリーの一部を見に行きましょう。

まずは勝福寺跡荒茂毘沙門堂 その名の通り勝負の神様だったのですが、明治初期には廃寺になり、本尊を安置するため改造されたと資料にあります。

隙間からなんとか撮影できました。

 

続いて、須恵阿蘇釈迦堂です。

正直言って現在のお堂は地味ですが、中には日本の仏教美術を代表するような平安時代末期の仏像が安置されています。須江氏から相良氏、そして現在に奇跡的に受け継がれています。仏像の写真ありませんので、こちらでご確認を 日本遺産人吉球磨のホームページ

そして、この旅の最後に谷水薬師をご紹介します。

前回触れた通り、あさぎり町は免田町、岡原村、上村、須恵村、深田村の5自治体の合併よって誕生しました。

谷水薬師は、旧上村の白髪岳の麓にあります。たぶん麓にあるとの理由だと思いますが、昔、ここに麓城がありました。現在は公園となっており、紅葉は必見です。そのシーズンに写真を撮りに行けたらいいな、思っております。

谷水薬師に近づくと誰かが出迎えてくれます。

愛嬌のある顔ですねと言ったら怒られそうなので、そのまま通り過ぎます。古い石像数体にお出迎えいただきました。

駐車場に車を止めて歩きますが、森そのものが特別な場所と感じます。入ってすぐに苔むした古木が目に留まりました。人が手を広げているようにも見えたりします。森そのものが生きてる感じです。

パワースポットという言葉はあまり好きではありません。ただ、何かを感じる場所はあると思っています。もともとそういう特別な場所であったのか、それとも人々の祈りが集積されて特別な場所になったのか・・・。昔、そのことをあるお宮の宮司に聞いたことがあります。こたえは、その両方だと。

ここの特徴は、何と言っても紙を噛んでこともあろうに仏像に投げつけ、くっついたら病気平癒となる風習。

古くから伝えられているだけに、おそらく効き目があるに違いありません。

谷水薬師の仁王像は少しユニークなお顔立ち。

聖武天皇の御代、行基菩薩の創建。また桓武天皇勅願の造営などと伝えられている。

御開帳は春秋彼岸の中日と土用丑の日。

これから良い季節になります。山里の豊かな実りの秋。さわやかな風。深まる秋の気配。球磨地方を訪ねる旅はいかがですか?

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キュレーター紹介

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1964年天草生まれ、2016年まで天草宝島観光協会の事務局長を務め、地元はもとより各地奔走。おでんと日本酒をこよなく愛する自称ナイスミドル。

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