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ノハラ

小野副知事に聞くー熊本地震後の観光の復興について

こんにちは。おるとくまもと編集部のノハラです。
この記事では、おるとくまもと(くまもとDMC)が、熊本地震から1年が過ぎた熊本県の観光の復興に向けた今後の方針や取り組みについて熊本県副知事の小野泰輔さんへインタビューを行った様子をまとめています。


小野泰輔(おの・たいすけ)[熊本県副知事]
東京都出身。1974(昭和49)年生まれ。
現在、熊本県副知事を務め、健康福祉や商工観光、農林水産部門を担当。
東京都出身。1999年に東京大学法学部を卒業後、コンサルタント会社勤務などを経て2008年、蒲島知事の要請で県の政策調整参与に就任。2012年から副知事を務める。
阿蘇地域の世界農業遺産への登録や、県南振興策であるフードバレー構想の推進等に取り組む。また、企業訪問(トップセールス)により熊本への農業参入や企業誘致に尽力。
ふるさと投資連絡協議会会長、熊本県林業公社理事長等を務める他、八代船クルーズ振興、五木村振興、文化振興等多方面で活動。季節折々の熊本の旬を紹介する「くまもと手仕事ごよみ推進事業」は、2015年グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞。
2016年4月の熊本地震発生後は、知事が標榜する「創造的復興」に向けて尽力するとともに、県内及び九州各県の自治体や経済界等に対し、震災対策の重要性を発信。また、観光産業の復興に向け、有識者により議論する観光復興会議の座長を務める。
趣味はゴルフ、テニス、ドライブ、琉球民謡(三線)、日本酒。

インタビュアー/くまもとDMC 浦上・坂本
記録・編集/ノハラ
インタビュー実施/2017年5月

地震後の大きな課題

−地震後1年が過ぎました、現在の熊本の観光の課題はどのようなことがあるでしょうか。

観光でいいますと、大きな地震が起きたことで、阿蘇方面のアクセスが地震前の状況に比べるとかなり悪く、国道57号やJR豊肥本線はまだ復旧の目処が立っていません。観光客の利便性が損なわれた状態になっていることが、熊本地震による大きな爪痕であり、これをどのように復旧させるかというのが一番大きな課題です。
現在、阿蘇へのアクセスはミルクロードや俵山トンネルといった国道57号の代替路が復旧していて、観光客もある程度戻って来ており、比較的良い状態にはなってきています。
さらにたくさんの方々に熊本へ来ていただけるよう、いろいろ情報発信をしているのですが、地震によって離れた観光客を取り戻すのは大変です。

一番難しいのが教育旅行です。修学旅行が九州に来る場合は阿蘇のルートが多かったのですが、教育旅行は2、3年前に予約をするものなので、地震のあとキャンセルしてしまっているため大幅減になっています。教育旅行をどのように復活させるかというのが大きな課題です。
インバウンドも同様で、9割減ということになりました。だんだんと戻ってきてはいますが、やはり他の観光地に向いてしまうと、なかなか戻ってくるのが難しいです。

地震によって、インフラ自体が傷ついたのをどのように回復していくのか。
また、ある意味風評被害といっていいと思いますが、地震の影響でいったん離れてしまった観光客にどうすれば熊本に戻って来ていただけるのか。
これらが地震後の対応として、一番やらなくてはいけないことだと思っています。

「食」は、古くて新しい観光のテーマ

−熊本の観光に戻ってきてもらうためにどのようなことに取り組んでいますか。

今年度から食に特化した施策に取り組んでいます。
食を中心としてお客さまを呼び込んで、そこから観光につなげるという流れをつくっていくというのが方向性としては間違いないと考えています。
ある意味、食は古くて新しいテーマだと思うんです。
観光地に来たら当然、おいしいものはこういうのがありますよ、というパンフレットは今までもあったと思います。
しかし、これからはもっと食をメイン・目的にして食べに来るという人へアプローチをしていくのが、食から観光につなげるということだと理解しています。
例えば、南阿蘇などで行われているレストランバスという取り組みがありますよね。
あれはまさに、観光地に行って道の駅やレストランに寄って、おいしい食べ物を食べましょうという、通常の流れではなくて、レストランバスに乗りに、食を体験しに来るということです。
そして、食材を提供している農家さん、あるいは美味しいものがつくられている自然環境、海や農村といったものを体感する。
つまり、今までの観光地であれば有名な神社仏閣や、お城などを見にいくのが目的だったのですが、食が目的になっている。ある意味、これまでと主客転倒になっているようなものです。
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そしてこれは、着地型旅行にマッチするものだと思っています。
どういうことかというと、観光地でない、集客施設がない地域でも、すばらしい農業をやっている人がいっぱいいる。棚田が見えたり、渓谷が見えたり、景観が良い場所がいっぱいある。
そういうところにバスを走らせて、途中で止まったりして、そこで食事しながら景色を見る、それはやはり特別な体験なので、食を中心に据えると今までの観光とは違った切り口になります。

−そうですね。泊まるのではなくて「食」で打ち出して、泊まるのはまた別の地域でという形もありますね。

ですので、地域の魅力が今までのいわゆる観光地だけではなく、熊本の豊かな環境や、ストーリー性のある人の営みなどに触れるような商品をしっかり売っていけるのではないかなと思っています。
今さら食をメインに打ち出すの?という疑問があるかもしれませんが、そうではなくて、ちょっとアプローチの仕方が今までとは違う形でできるだけ打ち出していきたいと思っています。

—食の窓口は広いですからね。くまもとDMCでも実行していきますが、いろいろな主体がいろいろな地域でやると、いろいろな方に目に触れ、来る層が増えるので、そういった流れがいいと思っています。

CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネージメント)について

−これからの熊本の観光にとって大切なことはなんでしょうか。

昨年は地震後に「くまもと観光復興会議」を立ち上げて、ゼロベースで創造的復興を考えようとやっていたのですが、その中で全国的動きである、DMOの立ち上げが熊本県下でも行われました。民間ベースでくまもとDMCが立ち上がり、そして、八代や玉名にも地域のDMOが立ち上がりました。従来の観光から脱皮した形で、着地型で地元の地域資源をしっかりと活用して発信をしていき、マーケティングや販売までやっていくような動きが出て来たかと思います。
御社(くまもとDMC)は、ビッグデータを利用したマーケティングを行うということですが、顧客へのアプローチとして、CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネージメント)も重要だと考えています。
要はひとつひとつの顧客データをきちんと集め、それを分析して、どういう顧客層にどういう商品を売っていこうかということです。
顧客の情報を自社で持つ、または顧客の情報を持ったところと、地域のリソースを知って活用することのできる地元の人が連携すれば、顧客層に適切なアプローチをすることができます。
ビッグデータというマクロの流れをつかんでプロモーションを打つということと、CRMによりひとりひとりの顧客に対してアプローチしていくという、その両面をしっかりやればかなり成果が挙げられるのではないかと思います。

—その通りだと思います。弊社ではビッグデータを取り扱いますが、同じように顧客ひとりひとりへのアプローチがとても重要だと思っています。

◎DMO(デスティネーション・マネージメント・オーガニゼーション)
観光物件、自然、食、芸術・芸能、風習、風俗など当該地域にある観光資源に精通し、地域と協同して観光地域作りを行う法人のこと。(「JTB総合研究所」より引用)
◎ビッグデータ
市販されているデータベース管理ツールや従来のデータ処理アプリケーションで処理することが困難なほど巨大で複雑なデータ集合の集積物を表す用語。(「Wikipedia」より引用)
◎CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネージメント)
ITを駆使し顧客との関係強化を図ることにより獲得収益の最大化を図る手法。
顧客データベースを活用し顧客のニーズを細分化し、その顧客群に対し最適なマーケティング・ミックスを適用していく戦略。

>次のページ「観光にとっての究極はファン化」

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キュレーター紹介

ノハラ

千葉県生まれ。縁もゆかりもなかった天草の離島・御所浦に、学生時分に縁ができ、数年前から島住まいです。 趣味は和船、櫓漕ぎなど。お刺身をはじめとした魚料理が好きで「おいしい魚を食べ続けられるように」というのがここ最近の気持ち。

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