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ミセ@ブックソムリエ

第三回【熊本を代表するSF作家!梶尾真治先生】その世界を楽しむ作品紹介①『黄泉がえり』

本に埋もれ、本が無いと生きていけない生活を送るミセ@ブックソムリエ。そんな彼が今回紹介するのは、熊本在住のSF作家 梶尾真治先生の『黄泉がえり』について。熊本を舞台とした同作品の続編『黄泉がえり again』、関連作品の『黄泉びと知らず』などをご紹介。

みなさんこんにちは。蔦屋書店熊本三年坂で書店員してる三瀬です。

 

前回、熊本を代表するSF作家の梶尾真治先生最新刊行作『未来あしたのおもいで』をサイン会を含めて紹介しました。

 

第二回【熊本を代表するSF作家!梶尾真治先生】最新作『未来(あした)のおもいで白鳥山奇譚』サイン会イベント報告

 

今回から数回、梶尾先生の著作を紹介したいと思います。あなたはどれだけ読んだことがあるかな?

『黄泉がえり』

熊本を舞台とした梶尾先生の代表作といえばこの作品。

あらすじ

舞台は熊本市。小規模な地震、浜線バイパスでの火の玉など目撃が頻発、なかでもひときわ奇妙な相談が市民センターに寄せられる。

それは”亡くなった人が帰ってきた。戸籍を戻すにはどうすればいいでしょうか?”というものだった。

しかもその問い合わせは1件、2件というレベルではない。社会現象化した死者復活を人々は、『黄泉がえり』と呼ぶようになる。

最初は戸惑っていたが、徐々に”黄泉”がえった人々を受け入れていく市民たち。しかし彼らの復活には大きな秘密が隠されていた

 

というのが大筋です。

 

この黄泉がえった人は、一番想いの強い人の前に現れます。そこに梶尾作品の醍醐味である人間ドラマが展開します。この各々の心が通い合うシーンは、何度読んでも感動で気持ちが揺さぶられます。本当に描写が上手い!

この『黄泉がえり』は2003年に草彅剛さん・竹内結子さん主演、塩田明彦監督で映画化されています。

 

当初は3週間の公開予定でしたが、観た人の口コミで評判を呼び、なんと3ヵ月のロングラン公演になったというミラクルな展開となりました。

 

こちらを観て、文庫版の黄泉がえりを購入して読まれた方も多いのではないでしょうか。当時、書店員だった友人も「ものすごい売れ方だった!」と証言しています。

続編『黄泉がえりagain』

続編『黄泉がえりagain』が、2017年7月から熊本日日新聞土曜夕刊に連載開始。熊本在住のイラストレーター、村井けんたろう先生の挿絵が毎回楽しみでした。2019年に書籍として刊行されました。

あらすじ

舞台は同じく熊本市。熊本地震から1年3ヵ月経ったある日、再び”黄泉がえり”現象が発生します。

17年前の黄泉がえり現象を記者として取材した川田平太(劇場版での主人公。草彅剛さんが演じた)の元にも、亡くなった母親が帰ってくる。

川田は独自に再び始まった現象を調査していくうちに、黄泉がえった小学生時代の同級生、山口美衣子と再開する。

前回とは多少違った様相を見せる”黄泉がえり”現象。その影響はどこまで拡がっていくのか?熊本、どうなる?

 

前作から17年後の世界を描いた公式続編であり、『黄泉がえり』の登場人物たちのその後が描かれ、ファンにはたまらない一作です。

 

さらに加藤清正やあっと驚く”モノ”が黄泉がえったりと、梶尾先生ならではの熊本愛とセンス・オブ・ワンダーが溢れていました

熱いイベントも

2019年の書籍刊行時には蔦屋書店熊本三年坂で、トーク&サイン会を開催し、300人以上の来場者となり、梶尾先生と「黄泉がえり」の人気を目のあたりにしました。

 

その時に限定で、イラストレーター村井けんたろう先生に描いてもらった『黄泉がえりagain』カバーを作ったり、等身大の清正(せいしょこ)さんをファンの人が作成したり。

なにもかもがこれまでのトーク&サイン会を凌駕する、コロナ前のとても印象に残っている大イベントでした。

スピンオフ作品も

『黄泉がえり』はスピンオフとして、『黄泉びと知らず』という同現象を別視点で描いた作品も刊行されていますので、ご興味のある方はぜひ読んでみてください。

 

次回は、梶尾先生のタイムトラベル・ロマンス「クロノス・ジョウンターの伝説」を紹介したいと思います。

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キュレーター紹介

ミセ@ブックソムリエ

12年間で2400冊読了。 なかでもSFが好きで、それが高じて書店員初の日本SF作家クラブ正会員となりました。 毎月定期的にSF読書会やビブリオバトルなど読書系イベントを開催しています。

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