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【ちょっと残念な大怪獣】東宝三大怪獣の一角を担うラドンは、阿蘇の火口で生まれた!?

噴煙を上げる阿蘇中岳。2023年5月、7年ぶりに火口周辺の遊歩道が再開しました。皆さんは、約70年前にこの中岳火口から生まれた大怪獣がいたことをご存じでしょうか? 活火山の熱で孵化し、始祖鳥のように羽ばたく東宝映画『空の大怪獣 ラドン』! 大怪獣なのに予告編は作り手の苦労アピール💦更にリバイバルでは...…。ちょっと残念な大怪獣をご紹介します。

世界に活火山は1500ほどあれども、火口まで歩いて行けるなんて非常に珍しいんですよ。

火口を覗くという貴重な体験ができ、世界中の火山学者がうらやましがる阿蘇中岳。

噴火で壊れた遊歩道が2023年5月、整備されました。

奥が、噴石が当たって壊れた手すりです。

遊歩道から見える第三火口は、数十年前、野球の試合が行われていたんですよ。

撮影に行った日は火山活動が活発らしく、エメラルドグリーンの湯だまりはなくて、火口底が見えていました。

コロナも落ち着き、海外からの観光客も増えて来ている阿蘇中岳ですが、この火口で生まれた怪獣がいたことをご存じですか!?

 

阿蘇生まれの三大怪獣の一角は、予告編から見所満載

それは今から約70年前の1956年(昭和31年)、東宝制作の怪獣映画『空の大怪獣 ラドン』に登場するラドンなんです!

その2年前の1954年(昭和29年)には、東宝で水爆大怪獣映画『ゴジラ』が公開され、大人気に!

 

阿蘇が舞台の映画にゴジラは登場しませんが、ゴジラの仲間だとアピールするためか、予告編ではゴジラのテーマ音楽が使用されています。

 

映画のストーリーには触れず、「製作費2億え! 製作日数200余日!」と作り手の苦労を語ったり、画面いっぱいに「迫力」と手書きしてあったり、当時の文化に触れられる予告編ですね。

 

1961年(昭和36年)の『モスラ』も含め、放射能汚染によって生まれたこの三体は「東宝三大怪獣」と呼ばれます。

 

人類から攻撃される存在ではありますが、1964年(昭和39年)の映画『三大怪獣 地球最大の決戦』では、モスラが「人間を助けよう」とゴジラやラドンを説得。

 

金星を滅ぼし、さらに地球を襲う「宇宙超怪獣キングギドラ」を倒すために、「地球の三大怪獣」がタッグを組むのです!

 

しかしリバイバル放映時のタイトルは、なぜか変更され『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 地球最大の決戦』に!!

 

阿蘇出身のラドン、どこ行った!?

 

キングギドラに、完全に持って行かれたな……。

 

阿蘇だけど…なにか違う?

映画『空の大怪獣 ラドン』自体も突っ込みどころ満載

 

主人公である河村繁(演:佐原健二さん)は、阿蘇山の麓で採掘する炭鉱夫という設定なのですが、いやいや、阿蘇に炭鉱なんかないって!😅

 

世界には硫化水素を含む火山ガスのある地域で採掘しているところもあるようですが、長期にわたってそれを吸うなんて、健康上もってのほか。

 

映画『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』でも活火山で宝石を採掘していましたが、いつ噴火するかわからない活火山で地下を掘る!?

 

火山性地震で落盤事故起きたらどーするの?😅

 

映画『空の大怪獣 ラドン』が公開された当時、熊本の人は「炭鉱は荒尾市だろ!」と突っ込んだでしょうが、他県の人は「阿蘇には炭鉱があるんだなー」と思い込んでしまったでしょう。

 

炭鉱のロケは、長崎県で行われました

 

でも、映画のおかげで阿蘇の観光客が増えたそうなので、ロケ地巡り・聖地巡礼の走りなんでしょうね。

 

噴火で飛んできた石が落ちたところが、まるでラドンが降り立ったみたい!

 

次から、「ラドンの足跡」だと言うことにします😆

 

阿蘇から飛び立ったラドンは…

『空の大怪獣 ラドン』のストーリーは省略しますが、活火山の熱で温められた卵が孵化して、ラドンは飛び立ちます。

 

いかにも卵がすっぽり入りそうな火孔が、中岳火口にできていましたよ。

映画では火口に新婚旅行に来ていたカップルが襲われ、彼らのカメラのフィルムを現像すると(←この言葉が若い人には通じないかも……)、空を飛ぶ怪獣が写っているらしいです。

 

花嫁さんの後ろに湯だまり(たぶんセット)が映っていますが、この位置まで降りられません。

 

現在では火口には立入禁止の柵も設置されています。

 

そもそも、火山ガスが一定の濃度を越えたら入山禁止です。

ところでラドンは阿蘇から飛び立ち、長崎県佐世保市の西海橋や、福岡県福岡市の天神の岩田屋(今はパルコ)などを破壊します。

 

ゴジラオタクの友人によると、「この天神のミニチュアがすごい! ラドンの羽ばたきで瓦が飛ぶシーンとか」。

 

自衛隊の戦闘機が戦うのですが、ラドンの破壊力がすごい!

 

映画のポスターのキャッチコピーが「空飛ぶ戦艦か! 火口より生れ地球を蹂躙する紅蓮ぐれんの怪鳥ラドン!」。

 

紅蓮の弓矢どころじゃなくて、空飛ぶ戦艦ですよ。宇宙戦艦ヤマトか!?ってくらい。

 

ラドンは、またどこかへ飛び去ってしまいますが、博士が「帰巣本能があるから阿蘇に戻るんじゃないか」と考察。

 

やはり阿蘇火山に隠れています。そこで噴火を誘発し、溶岩の熱でラドンをやっつけようという作戦を立てるわけです(←危険過ぎ)。

 

『ゴジラ』はモノクロだったけど、ラドンは東宝初のカラー怪獣映画なので、真っ赤に燃える溶岩の映像が映えると思ったんでしょうね

 

そのおかげで阿蘇中岳が選ばれたのならラッキー!😆

これは上から見た富士山火口。

富士山もバリバリの活火山だけど、東京の人にとっては身近過ぎて「溶岩がドロドロ流れるなんてウソっぽい」と思って阿蘇山にしたのかな。

 

ゴジラやウルトラマンも熊本に来ていた!

 

ちなみに1994年(平成6年)公開の映画『ゴジラvsスペースゴジラ』(主演は橋爪淳さん)では、ゴジラが九州初上陸! 熊本城で、天守閣を破壊するシーンのロケが行われました。残念ながら、ゴジラは来ず。高い枝の先を見ながら走って逃げましたよ。😂

熊本城は、1996年9月から放映されたドラマ『ウルトラマンティガ』(主演はV6の長野博さん)第43話『地の鮫』にも登場。

 

戦いが繰り広げられたパルコは、今ではHUB@(ハブアット)に建て替えられています。前述のゴジラオタクの友人はエキストラとして逃げ回ったそうです。

 

阿蘇は、世界の黒沢作品にも

阿蘇中岳火口の近くにある砂千里は、1985年公開の黒澤明監督による映画『』(らん)にも登場しています。動画冒頭の家督相続のシーンも阿蘇ですが、お城が炎上した後、主演の仲代達矢さんがふらふらと歩き回るシーンは砂千里です。

動画の最後、仲代達矢さんの「ここがあの世か」というセリフがぴったりの荒涼とした風景。火山灰だらけで真っ黒な砂千里は、いかにも別世界といった雰囲気です。

 

火山灰と言えば…

 

山上バスターミナルの火山灰ソフトクリーム、おすすめです!😋

熊本県には映画のロケ地になったところもたくさんあるので、聖地巡礼してほしいですね。

 

※火山ガスや天候等により見学できない場合もあります。見学の際には、事前に規制情報等の確認をお願いします。

店舗情報

阿蘇中岳火口

TEL
0967-34-0554 阿蘇市観光協会
営業時間
詳細はHPでご確認ください。
ホームページ
http://aso-san.com/map/kakou/
住所
〒869-2225 熊本県阿蘇市黒川

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キュレーター紹介

かのん

熊本県内から県外・海外まで取材に行き、様々な情報を紹介してきました! 歴史と火山、アニメ&特撮も大好きです。ステキなモノ・コトはもちろん、それを開発したヒトに興味があります。「この人にインタビューして!」という人物がいたら、教えてくださいね!

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