【肥後遊記】第3譚 肥後のこいが、うまかもん 柚餅子-菊池市-
妖怪ひ~ が肥後をぶらりぶらり旅する『肥後遊記』第三譚。今回は、肥後の「うまかもん」をご紹介!熊本県北部にある菊池で、農家の保存食からお菓子へと発展を遂げた「柚餅子」。餅だけど、あの「餅」とは違う...しかし、食感は餅のよう。噛めば噛むほどユズの香りと味噌の味が広がる素朴なお菓子はどのようにして誕生したのか?
初めましての人は、初めまして!
第二譚からの方は、引き続きありがとうございます。
肥後(熊本)の美味しい食べ物を食べて、日夜、体重計とにらめっこをしている妖怪ひ~でございます。
今回は菊池市の柚餅子をご紹介します!
柚餅子の歴史
柚餅子は、柚干や柚圧とも書く料理ですが、室町時代には柚醤や柚味噌等とともに酒席の佳肴とされ、お酒の席で食べるものでした。
寛永20年(1643年)に出版された『料理物語』によると、「柚味噌のごとく口をきり実をすて、味噌、生姜(しょうが)、胡椒(こしょう)などよくすりて、かや、ごま、あんにん、そのまま入まぜて、ふたを合わせからげ、よくむしてほし、あまにつり候てよし」とあり、このことからも柚餅子は柚子の形をした「丸柚餅子」が本来の形であったことがうかがえます。
丸柚餅子はこのような姿だったと思われます。
菊池で発展
菊池では農家の保存食として作られていましたが、明治時代の西南戦争の後、細川藩の御用菓子司だった島津屋又平が菊池に引っ越し、工夫と改良を重ね、それまで保存食であった柚餅子を蒸し菓子として作ったそうです。
餅のような食感で、ユズの香りとみその味、噛めば噛むほど味がある素朴なお菓子です。堅くなったものは焼くか、蒸せば又おいしく食べることができます。
この菊池の柚餅子は、菊池市隈府にお店を構える「津村友宝堂」(創業1947年)が作られており、私が購入したきくち観光物産館以外にも色々な場所で販売されています。また、この柚餅子は、「津村友宝堂」ただ一店のみで作り続けられているものです。
菊池市に行かれた際には、道の駅や物産館で探してみると見つかると思います。
柚餅子を食べたら散策、温泉…
また、菊池物産館の周りには、菊池神社や菊池松囃子能場等の歴史ある建物や、風情ある町並みがありますので、ちょっとした散策に適してます。
他にも周囲に温泉が多くあり、旅の疲れを癒すのもおすすめです。
以上、それではまた次回の記事もお楽しみに!
【NEXT】
第4譚 肥後のふしぎなもん 栖本の油すまし(天草市)
ちなみに…
人吉・球磨地方の柚餅子
菊池の柚餅子と形状や味に違いがみられる人吉・球磨地方の柚餅子は、柚子の中身をくり抜いて容器にし、中に材料(味噌、ピーナツ、ごま、しょうが、とうがらし、小麦粉)と調味料を加えて混ぜ合わせたものを詰めて蒸したものを、天日干し(2週間位)して熟成させたもので、丸柚餅子の一種と思われます。
人吉・球磨地方では、お茶請けだけでなく、球磨焼酎のつまみとしても食されるようです。
YouTubeに柚餅子づくりの工程がわかりやすく紹介された動画があるので、ぜひご覧ください。
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