おるとくまもと

工房 菜々色 佐藤弘子さん
 河津静子さん
佐藤法子さん

菜々色のお漬物から始まった
農家発の工房。

清らかな空気、美味しい水、豊かな大地に響く明るい笑い声。
声のする方へ近寄ってみると、そこには趣ある古民家で楽しそうに料理をしている3人のお母さん。中に入ると、どこか懐かしく、美味しそうなおかずの香りが漂います。「あらまあ、いらっしゃい!」と温かく笑顔で迎えてくれた「工房 菜々色」の皆さん。本業である農業の傍ら、収穫した野菜の加工にせっせと取り組んでいます。

工房 菜々色の3人は、昔から仲の良い友人同士。3人は会うと、「野菜の種まいた?」「花が咲いたばい。」「実がなったばい。おいしかったなぁ。」と野菜の話ばかりしていたそうです。「ある時、その野菜で漬物をたくさん作ったのでおすそ分けをすると、とても喜ばれたんですよ。」喜んでもらえたのが嬉しくて、白菜、大根、人参、キュウリなど自分たちの畑で収穫した野菜で作るお手製のお漬物の数々。気づけば、色とりどりの菜々色のお漬物が完成していました。

工房のある「畑暦」

「畑暦」は、ごんべえ村キャンプ場を経営する、工房の代表も務める佐藤さんがご主人と、築120年を超える古民家を自分たちの手でせっせと改装し完成させた趣ある建物です。
外にはかまどがあり、自家製のこだわりのお米を使用した昔ながらのかまど炊き体験は、観光客に密かに人気のスポットです。

こつこつと愛情かけて育てた
我が子のような野菜たち

阿蘇の豊かな大地を生かして無農薬でとびきりおいしい野菜を作りたい。それが「工房 菜々色」の3人の想いです。「野菜が一番美味しく育つのは自然農法なんですよ。びっくりするかもしれませんが、草も取らずにできる限り自然に近いかたちで育てます。」雑草に負けることなく力強く育った野菜は、阿蘇の大地の恵みをしっかりと受け、のびのびとして瑞々しい。ここまでの野菜が育つには何十年もの努力があったといいます。「最初は虫にやられ、天候にやられ、なかなか思うように栽培できず悔しい思いもたくさんしてきました。」あきらめずにこつこつと…「時間はかかりましたが、我が子のように育てた野菜は甘くておいしく、ようやく自信をもって皆さんにご提供できるまでになりました。」

驚かされたのは収穫した野菜の保存方法。「阿蘇の冬は寒くて長いので、収穫した野菜は、育った土の中に埋めて藁をかぶせて保存します。この土地に代々伝わる昔ながらの知恵ですね。」土の中で保存している大根を見せてもらうと、そこにはまるで収穫したてのような立派な大根がごろごろと並んでいました。なるほど…美味しい加工品を支えるのはこだわりの野菜づくりなのだと納得させられました。

届けたいのは阿蘇らしい季節を感じる食卓。
身も心も元気にできれば◎

「食」という字は人に良いと書きます。また、季節ごとの旬野菜は、その旬の時期に一番美味しく栄養価の高い状態だと言われています。「私たちが皆さんにお届けしたいのは、季節ごとのお野菜で作るありのままの食卓です。私たちの作った“ご飯のとも”で体だけでなく心も元気なってもらえたら幸せです。」

菜々色のお母さんたちが作るものは、どれも余計なものが入っていないシンプルながら味わい深いものばかり。「手間ひまかけて作った野菜を私たちが一番おいしいと思う方法で食べて欲しいです。」一口食べると、ご飯をおかわりしたくなり、ついついお腹いっぱいまで食べ過ぎてしまうほどの素朴なおいしさ。胃袋が満たされると何だか心までほっこりと満ち足りる─。人に良い「食」とは、食べる人の心までも幸せにする、まさにこんな食のことを言うのでしょう。

合鴨農法で作るこだわりのお米

毎年、田植えの時期になると水田に生まれたての雛を放し、農薬を一切使用せず育てるこだわりのお米。菜々色の佃煮や漬物との相性は言うまでもなく最高です。

世界に誇る阿蘇の農業を発信!
「阿蘇ピクルス」への挑戦。

先人の知恵を受け継ぎ、持続可能な農業の継承や草原の維持再生に取り組んできた阿蘇。世界農業遺産にも認定された世界に誇れる阿蘇の魅力を発信したい─。そんな想いで考案したのが、この「阿蘇ピクルス」です。野菜の切り方や形にこだわり、阿蘇の四季折々の草原を表現するピクルスが完成しました。「一つひとつが手作業のため手間ひまかかりますが、目で見て楽しく、野菜嫌いのお子さんにも無添加で安心して食べられるようなピクルスを作りたかったんです。」

草原を表現する千切りのまんがんじ唐辛子に牛の形に切り取られた人参。小さな瓶の中に阿蘇の雄大な「放牧」が詰め込まれています。また、春の恒例行事ともなっている「野焼き」は、赤パプリカを使用し見事にその様が表現されています。今回取材したのは、「雪山」と名付けられた大根と人参を使用したピクルス。「阿蘇の冬はうっすらと雪が積もり、一面雪化粧に変わる草原もまた、キレイですよ。」

菜々色のお母さんたちが作る阿蘇への愛着を感じるピクルスは、酢のきつくない、まろやかで優しい味わいで、野菜のおいしさが引き立っていました。瓶からサッと器に盛れば、彩ある食卓に一役買ってくれそうですね。

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